
ミニマルな空間でステンレスと木、タイルが心地よいハーモニーを奏でるダイニング・キッチン。繊細な陰影が奥行きのある表情を与えるペンダント照明は、Aさんのお気に入り
大切な家族の歴史と暮らしの楽しみを詰め込んだミニマルな田園の家
和寒町・Aさん宅 家族構成/本人40代
ダイニングの壁には、大小さまざまな収納を造作。限られた空間を無駄なく活用しながら、すっきりと暮らせるように配慮されている
モノづくりが好きなAさんが自ら設計した造作仕様のダイニングテーブル。天板には大判タイルを張った
アクト建築工房ならではの造作を生かした洗面台を配したユーティリティ
学生時代に建築を学びながら異なる業種に就いていたAさんは、「自分で設計した建物を終の棲家にしたい」という夢を持っていました。その願いを叶えるパートナーになったのがアクト建築工房でした。「昔の実家のイメージを残しながら、別荘のようなシンプルかつミニマルな建物にしたい」。そう語るAさんは、2階建ての建物の1階は、床面積の半分を土間仕上げにし、子どもの頃から慣れ親しんでいた薪ストーブの設置を想定した基本設計を考えました。
玄関ホールからそのままつながる土間仕様のリビングは、水まわりやトイレとも動線がつながり、カーテンで玄関と間仕切りができる
1階土間とダイニング・キッチンの針葉樹合板の床の間には、同じ材で造作したすのこを配置し、足元から緩やかに空間を分離
階段を上った左手には、間仕切りなしでフリースペースを設けた
アクト建築工房の澤田さんはAさんのプランがより生きるよう、自然石やタイル、ステンレス、針葉樹合板などを用いた内装プラン、照明計画を提案。二人三脚でプランを完成させていきました。
階段腰壁の裏には本棚を造作。Aさんはこれから好きな椅子を購入し、読書室として活用したいと考えている
周囲の緑の風景を取り込む窓をL字に配した2階のセカンドリビング。階下の薪ストーブの煙突から伝わる薪火の熱が、開放的な空間をほんのりと暖める
2025年秋、家族の思い出が詰まった敷地にAさんの新しい住まいが完成しました。木造2階建ての住まいは、水まわりやトイレ以外はオープンな間取り。標準仕様で次世代省エネ基準をクリアする性能を備えていることもあり、薪ストーブ1台で家の隅々まで暖かく快適です。「旧居の寒さも、今では思い出話の一つになりました」と、Aさんは笑顔で話します。
玄関土間はダイニング・キッチンにもそのままつながる。Aさん念願の薪ストーブは、ダイニングの一角に設置された
雪の吹き込みを最小限に抑えるよう配慮した玄関ポーチ
澤田さんが「ラフな素材を用いながらも、山小屋風にならないよう素材の美しさを大切にした」と語る室内は、端正な造作、照明器具も随所に採用。中でも目を引くのは、業務用設備を採用したダイニング・キッチンです。コンパクトな空間にはAさん設計の大きな造作ダイニングテーブル、伊藤豊雄デザインのペンダント照明、薪ストーブが設置され、モダンな空間に仕上がっています。
ガルバリウム鋼板を採用したほぼキューブ型のフォルムがすっきりとした外観。道南スギ羽目板と薪ストーブの煙突がアクセント
「これからゆっくりと好みに合う椅子や照明器具を少しずつそろえ、模様替えも日々の暮らしの楽しみの一つにしたいと思っています」と、笑顔で語るAさんです。
建築データ
構造規模/木造(新在来工法)・2階建て
延床面積/105.90㎡(約32坪)
<主な外部仕上げ> 屋根/ガルバリウム鋼板、外壁/ガルバリウム鋼板 一部道南スギ、建具/玄関ドア:木製ドア、窓:樹脂サッシ(トリプルガラス)
<主な内部仕上げ> 床/針葉樹合板、壁・天井/水性ペイント
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/EPF(B3)100㎜、壁/高性能グラスウール16㎏100㎜+EPF(B3)50㎜、屋根/ブローイング400㎜
<暖房方式> 薪ストーブ・FF式ストーブ
工事期間
令和7年2月〜9月(約8ヵ月)
Replan北海道vol.152掲載