
素材の質感を大切にしたナチュラルなLDK。ダイニングの照明として、ルイスポールセンのトルボーが4つ並ぶ
仕事と暮らしをつなぐ 平屋的に暮らす職住近接の農家の住まい
士別市・Mさん宅 家族構成/夫婦30代、子ども1人
主玄関はアールの玄関框が広さをもたらす。手前に寝室、その先に回遊できるファミリークローゼットが続く。右手の廊下を進むと水まわり、その先にLDKが広がる
選んだ場所は、畑の目の前にある実家の敷地の一角。職住近接を叶える理想的なロケーションでした。新築の依頼先は、知人の酪農家の新居を建てたアクト建築工房。「農家の家を多数手がけているので、暮らし方を深く理解しているという安心感がありました。木や漆喰といった素材の質感を大切にする姿勢や、デザイン性の高さも好印象でした」と、Mさんご夫妻は話します。
帰宅後、すぐに手洗いができる洗面台。奥には大容量のパントリーが続く
そんなお二人の要望は、農作業の合間や帰宅時に重宝する「農家玄関」の設置と、子どもの独立後までを見据えた「平屋のように暮らせる」住まい。仕事と暮らしを両立する快適な住空間を目指し、アクト建築工房との家づくりが始まりました。
2025年の夏、広大な畑を背にした新居が完成しました。1階はLDKや寝室、水まわりなど暮らしに欠かせない要素で構成し、2階には子ども部屋のみを配置。日常生活のほとんどを1階で完結できる、平屋のように暮らせる住まいです。
南側には、昼寝やベンチ代わりにも重宝する小上がりの和室と、奥さんの作業スペースが並ぶ。デスク周りを程よく隠せるよう、造作の絵本棚の高さを調整した。「家族の様子を確認しながら作業ができる場所です」と奥さん
キッチンは前面収納付きのカウンターを高く設計し、手元を隠せる仕様に。背面壁にはミナ ペルホネンのタイルをあしらい、アクセントを添えた
ダイナミックな吹き抜けのあるリビングは、天井高5.4m。大きな窓から畑や山並みを望む、開放感あふれる空間が広がります。壁は淡いグレーを基調に、ご夫妻が好きなグリーンを交えた色に。ナラの無垢床と調和する上質なたたずまいになりました。
天井高5.4mの開放感あふれるリビング。突き当たりの扉の先には、Mさんが事務作業を行う書斎を設けている
階段下を生かしたヌックスペースは、子どもの格好の遊び場。廊下を挟んでキッチンがあるため、料理をしながら遊ぶ様子を見守ることができる
作業着をかけたり汚れ物を洗ったりと、使い勝手のいい農家玄関。暮らしと仕事の切り替えをスムーズにしてくれる
Mさんご夫妻が希望した農家玄関には、洗濯機と汚れ物をすぐに洗えるシンクを設置。作業着やアウター類を収めるバックヤードも確保し、農業用玄関と浴室を直線で結ぶ動線など、汚れを室内に持ち込まない工夫が随所に施されています。
ロフトのような雰囲気の2階子ども部屋。床を合板仕上げにすることで、1階とは異なるラフで軽やかな表情に
リビングの東側にはMさんの書斎、南側には家族の様子を見守りながら作業ができる奥さんのスペースも設けました。階段下のヌックスペースや小上がりの和室など、家族それぞれの居場所も充実。
畑の中にたたずむMさんご一家の住まい。三角屋根と片流れ屋根を組み合わせたフォルムが目を引く
「インテリアに造詣の深い澤田さんのアドバイスを受けながら、壁の色や家具選びも楽しむことができました。仕事も暮らしも快適です」と、奥さんは笑顔で語ります。
建築データ
□構造規模 木造(新在来工法)・2階建て
□延床面積 143.60㎡(約43坪)
<主な外部仕上げ> 屋根/ガルバリウム鋼板、外壁/道南スギ 一部ガルバリウム鋼板、建具/玄関ドア:木製ドア、窓:樹脂サッシ(トリプルガラス)
<主な内部仕上げ> 床/ナラフローリング、壁・天井/水性ペイント
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/EPF(B3)100㎜、壁/高性能グラスウール16㎏100㎜+EPF(B3)50㎜、屋根/ブローイング400㎜
<暖房方式> セントラルヒーティング
工事期間
令和6年10月〜令和7年7月(約10ヵ月)
Replan北海道vol.153掲載