Vol. 27

人と愛犬の暮らしに寄り添った
2度目の家づくり

旭川市Sさん宅  家族構成/夫婦40代

自然素材に包まれた遮るもののないLDKで、のびのびと過ごすギンくん。「ペットにも、人にも優しい家がコンセプトです」と澤田さん。リビングの壁には、Sさんが支給した無垢材を長さや厚みなどを揃えずランダムに施工。無垢の造作ドアは以前の住まいで使用していたもの

 Sさんご夫妻がアクト建築工房と一緒に家づくりをするのは今回で2度目。奥さんは、両親が2度家を建てていて、ご自身も将来的に終の住処としてもう1軒建てることを想定していたといいます。「子犬だったギンも、今やすっかり老犬です。階段移動もきつくなり、腰を痛めてしまったことをきっかけに新築を決意しました」。
 依頼先はもちろんアクト建築工房です。「澤田さんは型にはまらず、センスが良くて、自由でおおらか。私たちと一緒に心底楽しそうに家づくりをしてくれるんです。120パーセントの信頼で、2軒目の新築を依頼しました」と奥さん。木材のバイヤーをしているSさんは自ら無垢材を調達できることもあり、「木をふんだんに使った愛犬と暮らすコンパクトな平屋の家」という大まかな希望を伝え、澤田さんとの阿吽の呼吸の中でSさんご夫妻の2度目の家づくりが始まりました。
 床のウォールナット、Sさん支給のオークやチェリーの端材を活用したリビング壁やキッチンスペースなど、LDKは素材の質感が楽しめる木の空間に。玄関ホールに設けた犬専用の洗い場や、庭に続くスロープなど、ギンくんが快適に暮らせる工夫もしっかりとされています。「新しいものが必ずしも価値あるものとは限らない」という澤田さんの助言から、オールステンレスのキッチン、無垢材の造作建具やダイニングテーブルなど、以前の住まいから引き継いだものも多く、新旧が同居する心地の良い終の住処が完成しました。
 「1軒目に建てた家は現在売りに出しています。あの頃の私たちのように、若い家族が暮らしてくれると嬉しいですよね」と奥さんは話してくれました。

旧居では壁付きだったオールステンレスのキッチンを新居では対面型に。「使い勝手の良いキッチンを引き続き使えるのは、とても嬉しいです」と奥さん

奥さんとSさんの個室はウォークインクローゼットでつながる。Sさんの部屋の手前には趣味のプラモデル作りに没頭できる作業部屋を設けた

「以前の住まいから使っていたウォールナットのダイニングテーブルは、経年変化で白くなってきました。無垢材はこうした月日の変化が楽しいですよね」とSさん。ペンダントライトも以前の住まいから引き継いだもの。壁の造作棚には、ギンくんの成長過程が伺える写真が並んでいる

Sさん愛用の自転車と、ギンくん専用の洗い場を設けた広い玄関ホール。突き当たりには庭へ抜ける出入り口を設け、正面玄関と合わせて、ギンくんとの散歩時はどちらからも出入りができる

玄関で足を洗える洗い場のおかげで、散歩から家に戻るまでの流れもスムーズに

ギンくんが快適に移動できるよう、スロープを設置

2台駐車できるカーポートと物置を併設した平屋

■建築データ

構造規模/木造(新在来工法)・平屋建て
延床面積/125.73㎡(約38坪)(カーポート含む)
<主な外部仕上げ> 屋根/長尺カラートタン、外壁/ガルバリウム鋼板、建具/玄関ドア:木製ドア、窓:樹脂サッシ
<主な内部仕上げ> 床/ウォールナットフローリング、壁・天井/水性ペイント
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/押出法ポリスチレンフォーム100㎜、壁/高性能グラスウール16㎏100㎜+グラスウールボード32㎏25㎜、屋根/ブローイングウール300㎜
<暖房方式> セントラルヒーティング

■工事期間

平成31年3月〜令和元年8月(約5ヵ月)

Replan北海道vol.128掲載

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