Vol. 32

素材感のこだわりと
南の高窓からの採光が降り注ぐ
心地よい家

旭川市Iさん宅  家族構成/夫婦30代

スキップフロアのダイニング・キッチン。南の高窓からの光が照らす梁が美しい。フルオープンのキッチンは、ウッディな背面収納と一枚板のステンレス天板の組み合わせ

 家の中心部に設置された明るい階段を上がると、街路樹のグリーンがまばゆいばかりに目に飛び込んでくる開放的なリビングが広がるIさん宅。思いどおりの家づくりができたと語るIさんご夫妻が家づくりを決意した背景には、コロナ禍による結婚披露宴の延期などがありました。もともとIさんが学生時代から建築材料や家づくりに興味を持っていたことも後押しとなり、結婚2年目での家づくりがスタートしました。
 2階にリビングを配置したのはIさんのご実家も同様で、かねてからの希望でした。土地探しも2階リビングが可能であることが前提。条件に見合う敷地が見つかり、スムーズに着工へと進みました。ご夫妻が希望した2階LDKは、大きな三角屋根の形状を活かしたボリューム感たっぷりの大空間。どこからでも全体が見渡せる爽快さに満ちています。ナラ無垢フローリングやカラマツなどの自然素材は、シンプルでナチュラルな白を基調とした空間を引き立てます。
 階段を挟んで、リビングとスキップフロアのダイニング・キッチンが配置されているIさん宅。この大空間のLDKを、南側の高窓から入る陽射しが明るく照らします。そしてその光は、リビング北側の大きな窓へと抜けていきます。ダイニング・キッチンをスキップフロアにしたことで、リビング窓からの採光は玄関ホールまで届きます。この窓配置は、正面(南側)に隣家があり、裏手(北側)に街路樹と幹線道路がある敷地の特徴を活かしたものです。「2階リビングというプランで、敷地を見たときすぐにアウトラインが浮かびました」と澤田さん。
 Iさんの希望で階段の踏み板や作業机・カウンターなどには、年を経るごとに赤みが増すカラマツ積層合板を使用。リビングから続く畳エリアの上部には、屋根勾配を活かし、ロフトも設えました。手すり部分に埋め込まれた照明はガラス板を何枚も重ね、断面の美しさも楽しめるようにするなど、間取りから細部にまでこだわった家づくりができたことに、Iさんも満足のご様子。これからの幸せな暮らしが目に浮かぶようです。

キッチン奥には収納力たっぷりのパントリーを配置。キッチンエリアをすっきりと見せるための重要なポイント

ロフトへ上がる箱型階段。箱は収納として活用できる

キッチンから見た2階LDKの全景。ウッドオイル仕上げとホワイトのコントラストにブックマッチのウォールナットテーブルが映える

三角屋根の空間を活かし、畳エリアの上部をロフトにした。LDKを一望できるロフトは最高のこもりスペースになる

1階居室は、将来子ども部屋にすることも想定したもので、今は広いワンルーム

1階のユーティリティにはメインの造作洗面台。二人が立っても余裕のある幅で、バスタオルなどの収納も造作。大理石とブラック系の石材を組み合わせ、キャビネットのタモオイル仕上げとマッチしている

靴やアウターのほかアウトドアグッズなども収納できる大容量のシューズクロークを併設した玄関。趣味のロードバイクは壁面に収納できるようにした

ナチュラルパイン・道南スギ・札幌軟石の敷石と素材感を楽しめる玄関アプローチ

グレーホワイトのガルバリウム鋼板と道南スギでアクセントをつけた五角形の外観。ビックサイズのカーポートは、外観とイメージを合わせて車2台・物置・駐輪スペースを確保した

■建築データ

構造規模/木造(新在来工法)・2階建て
延床面積/140.21㎡(約42坪)(ロフト・カーポート含まず)
<主な外部仕上げ> 屋屋根・外壁/ガルバリウム鋼板、建具/玄関ドア:木製ドア、窓:樹脂サッシ(トリプルガラス)
<主な内部仕上げ> 床/ナラフローリング、壁・天井/ビニールクロス
<断熱仕様 外張断熱+付加断熱> 基礎/ビーズ法ポリスチレンフォーム(B3)100㎜、壁/高性能グラスウール16㎏100㎜+ビーズ法ポリスチレンフォーム(B3)50㎜、屋根/ブローイング400㎜
<暖房方式> セントラルヒーティング

■工事期間

令和2年6月~12月(約7ヵ月)

Replan北海道vol.133掲載

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