Vol. 41

愛おしむ北欧の家具が
上質な室内空間の表情をより豊かにする住まい

旭川市Tさん宅  家族構成/夫婦50代・40代、子ども1人

大きな窓と大胆な吹き抜けが圧倒的な開放感をもたらすLDK。光が射し込む無垢床が心地よい。窓辺の一部の床に石を敷き、内と外の行き来をスムーズにしている

「若い頃にヨーロッパ旅行を経験して以来、海外のインテリアに憧れを抱くようになりました」と語るTさんご夫妻の自慢の新居は、ルイスポールセンの照明や、フリッツ・ハンセンの名作チェアが室内の表情を豊かにし、木や石の自然素材が美しく調和する上質な空間です。
築30年以上経つ旧居を取り壊し、「憧れのインテリアが似合う家」の実現を決めたご夫妻。依頼先は「画一的ではなく、デザイン性があって、すべての家にオリジナリティーを感じた」と、アクト建築工房一択だったと話します。「代表の澤田さんはインテリアの知識が豊富で、家具や照明の歴史的な背景や物語を知ることで、より深みを感じることができました」と奥さん。
プランは、年を重ねても快適に暮らせることを考えて、LDKや水まわり、寝室を1階に集約し、書斎や子ども部屋を2階に配した平屋的な構成に。玄関から多方向にアクセスできる動線や、ユーティリティ・クローゼットなどのバックヤードも大きなボリュームを確保し、暮らしの雑多な情報を見せない工夫をするなど、機能性を内包しています。
大きな吹き抜けのあるLDKは、窓の向こうに隣家の緑が映え、ハイサイドライトが青空を切り取る開放的な大空間。「ここが住宅街であることを忘れてしまいそう」と、周辺環境を読み解いた設計が新鮮な喜びをもたらしています。「旧居では来客を迎えることはほとんどありませんでしたが、新居は人を呼びたくなる家になりました」と、笑顔で語る奥さんでした。

料理好きの奥さんのこだわりが詰まった造作キッチン。L字型を基本に、配膳時の動線を考えて通路を設けたことでオリジナリティーのあるフォルムに

キッチンは側面とトップに、洗面台と同じクォーツスラブを採用し、収納部はチェリー材を使った。石と木の調和が美しいキッチンに、PHランプがアクセントになっている

キッチン収納の先はゆったりとしたスペースを確保したユーティリティへ。直線で結ぶ動線が暮らしを快適にアシストする

表情豊かな石材を品よくまとめた1階ホールの洗面台とトイレ。洗面台のカウンターは、キッチンや浴室前の洗面台と同様にクォーツスラブを採用。ホテルのような佇まいを意識したデザインとなっている

玄関ホールからTさんの書斎スペースを介して寝室へ。ヘッドボードには間接照明と、就寝前の読書を好むTさんのためにスライド式の小型のスポットライトを設置している

ウッドデッキを介して視線が伸びる開口、大きな吹き抜け、ハイサイドライトからの光が織りなす美しいリビング。リビングのスタンド照明はフランク・ロイド・ライトのタリアセンをセレクト

2階ホールは読書好きのTさんご夫妻の愛読書を収める大容量の造作本棚を設置し、テレビニッチもつくった多目的空間。テレビや読書を楽しむ家族の大切な居場所の一つ。美しいシルエットのラウンジチェアはPK22

オレンジ系を取り入れた2階の書斎はリモートワークをする機会が多いという奥さんのための空間。タモの造作デスクはネイビーのリノリウムがアクセントに。乳白色のガラスシェードと真鍮を組み合わせたルイスポールセンのペンダントが映える

浴室前の造作洗面台には、壁付け水栓を採用。水栓の立ち上がりがないので省スペースで、カウンターを有効的に活用できる。壁にはブラウン系大理石、カウンターはキッチンと同じクォーツスラブを採用している。壁にはメイク時に便利なアームミラーも設置

玄関ホールの一角に設けた、ルイジアナ近代美術館のアートポスターとグランプリチェアを設けたディスプレースペース。すりガラスの先は浴室やユーティリティが続く

LDKと連続する広いウッドデッキは、家族で楽しむアクティブな場所

住宅街のため、道路に面した正面側は開口部を最小限に。落ち着いた配色の外観が町の風景になじんでいる

■建築データ

構造規模/木造(新在来工法)・2階建て
延床面積/155.70㎡(約47坪)
<主な外部仕上げ> 屋根/ガルバリウム鋼板、外壁/ガルバリウム鋼板 一部スギ板張、建具/玄関ドア:木製ドア、窓:樹脂サッシ(トリプルガラス)・木製サッシ(トリプルガラス)
<主な内部仕上げ> 床/ナラフローリング、壁・天井/水性ペイント
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/押出法ポリスチレンフォーム(B3)100㎜、壁/高性能グラスウール16㎏100㎜+押出法ポリスチレンフォーム(B3)50㎜、屋根/ブローイング500㎜
<暖房方式> ガスセントラルヒーティング
<冷房方式> エアコン

■工事期間

令和4年10月〜令和5年7月(約10ヵ月)

Replan北海道vol.143掲載

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