Vol. 6

住まうほどに風合いを増していくわが家
自然素材の肌触りと、四季の暮らしを愛おしむ

東川町Tさん宅  家族構成/夫婦40代、子ども2人

Tさん宅の特等席はキッチン。家事をしながら大開口越しに四季の彩りとダイナミックな吹き抜けを設けたダイニングが一望でき、2階の子どもたちの気配も手に取るようにわかる

 夏には忠別川河畔林のみずみずしい緑、冬にはキラキラと輝く銀世界。四季の彩りが大開口から染み入るようなTさんの家は、大雪山系旭岳の麓、東川町にあります。
 「転勤族だからこそ、2人の子どもが子どもらしくのびのびと育つ土地で家を持ちたいと思い、東川で土地を求めました」。ご夫妻が思い描いたわが家は、子どもたちが自在に駆け回ることができる開放的な住まい。冬には炎を眺める暮らしを楽しみたいと薪ストーブのある土間を設けることも希望していました。
 「アクト建築工房で新築した会社の先輩の家が素敵だったことを思い出し、相談に行きました。僕らは専門的なことはわかりません。でも、代表の澤田和宏さんが直接、丁寧に打ち合わせをしてくれた上で、イメージどおりのプランを提案してくれて、この選択は間違っていなかったと嬉しくなりました」。
 2014年5月に完成した木造2階建ての新居の中心は、薪ストーブを据えた土間のあるLDK。床はすべてナラ無垢材、造作の収納やキッチンにはタモ材を用い、随所に表情豊かな石材がアクセントに用いられています。自然素材の質感を生かした新居は子どもたちと一緒に成長し、風合いを増していくことでしょう。「澤田さんはインテリアにも造詣が深く、建物以外のこともたくさん学ぶことができ、モノを選ぶ目が変わりました。このシンプルな空間に、少しずつ家具や小物を揃えて、自分たちらしいインテリアを楽しみたいと思います」。

キッチン上のフリースペースは、物干しとプレイルーム、予備室を兼ねる。ハンモックを吊ったステンレスバーは、下から見上げた際に洗濯物が見えない位置に設置。
こうした何気ない場所にも、美しく快適に住まうためのきめ細かな気配りがなされている

冬は揺らめく炎を眺めながら食事が楽しめるダイニング。薪ストーブの背面には、給気口を収めたブロック壁をしつらえ、御影石を張った。「眺望を優先して開口を大きくしました。このストーブとブロックの防火壁が外の目線を遮断する目隠しにもなりました」

L字に配した開口から、河畔林の緑が染み込むようなリビング。東川の家具工房に特注したウォールナットのダイニングテーブルと素材を合わせ、TV台と吹き抜けの間接照明もデザインし、造作した。シックな木の色が白を基調にした開放的な空間を引き締める

タモの面材とステンレスの天板を採用した対面キッチン。背面にはライムストーンと大理石タイルを効果的に配した収納カウンターを設置。造作ならではの美しさと実用性を兼ね備えたキッチンは奥さんのお気に入り

壁に大理石のタイルを張った土間玄関。タモ材の突板を使ったシューズクローゼットは、容量もたっぷり

「大人も子どもも外に出たくなる家に」という要望から、LDKの外側をぐるりと囲むようにウッドデッキをしつらえた

大らかな吹き抜けは、間仕切りのないホールとキャットウォークに縁取られている。明かり取りを兼ねた横長の開口は、外の良い景色だけを取りこめるよう、大きさと位置を工夫。さらに「夜には外へ温かな灯りをにじませたい」というTさんの要望に応え、オリジナルの照明器具を設置した

■建築データ

構造規模/木造(新在来工法)・2階建て
延床面積/144.10㎡(約43坪)
<主な外部仕上げ> 屋根/アスファルトシングル、外壁/モルタル塗壁 一部道南スギ板張、建具/玄関ドア:木製断熱ドア、窓:木製サッシ・樹脂サッシ
<主な内部仕上げ> 床/ナラフローリング、壁・天井/水性ペイント
<断熱仕様 充填断熱+付加断熱> 基礎/ポリスチレンフォーム(B3)100㎜、壁/グラスウールサン16kg100㎜+グラスウールボード32kg45㎜、天井/ブローイング300㎜
<暖房方式> 電気ボイラー式セントラルヒーティング・薪ストーブ

■工事期間

平成25年11月〜平成26年5月(約7ヵ月)

Replan北海道vol.106掲載

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